こんにちは。おとFITNESS運営者の「OTOWA」です。
仕事や家事に追われる毎日、クタクタになって帰宅した後、わざわざ着替えて、部屋のスペースを空けて、ヨガマットを敷いて……なんて、考えるだけでめんどくさってなりませんか?
そこで考えるのが、ベッドの上でそのままトレーニングすることです。
この方法なら、特に準備もいらないので効率的に感じますが、ベッド上での筋トレは、メリットもあればデメリットも多く存在するのが事実です。
本記事ではそんな「ベッド上での筋トレ」の真実を、現役パーソナルトレーナーが包み隠さずお話しします。
- 「ベッド上の筋トレだと効果がない」と言われる理由について
- 腰痛や関節痛を引き起こさないために、絶対に避けるべきベッド筋トレNGメニュー
- ベッド筋トレのメリット、デメリットについて
- ベッド上のおすすめ体幹トレーニングについて
筋トレはベッドの上だと意味ない?

「汗水垂らして頑張ったのに、全然体が変わらない……」なんて悲劇は、絶対に避けたいですよね。
まずは、なぜ専門家やトレーナーたちが口を揃えて、「ベッドの上での筋トレやめておけ」と言うのか、その理由を深掘りしていきましょう。
これを知っているだけで、あなたのトレーニング効率は劇的に変わります。
ベッドでの筋トレ最大のデメリット
私たちが筋肉を鍛えるとき、実は筋肉そのものの力だけでなく、「地面からの反発力」を大いに利用しています。
これを物理学では、「作用・反作用の法則」と呼びます。
例えば、床で腕立て伏せをするとき、手で床を強く押すと、床からも同じ力で押し返されます。
この力が筋肉への負荷(刺激)となって、筋肉を成長させるのです。
しかし、これが柔らかいベッドの上だとどうなるでしょうか?
あなたが一生懸命体を押し上げようとしても、その力はマットレスの「沈み込み」に使われてしまいます。
イメージしてみてください。
ふかふかの砂浜や泥沼の上で全力疾走しようとしても、足が埋まってしまって全然前に進めませんよね?
あれと全く同じ現象が、ベッド筋トレ中に起きているのです。

「回数をこなせばカバーできるでしょ?」と思うかもしれませんが、残念ながらそう単純ではありません。
力が逃げている状態では、筋肉に「限界まで負荷をかける」という、成長に必要なスイッチが入らないのです。
これが、ベッド上でのトレーニングが、「(筋肥大やボディメイクの観点では)意味がない」と断言されてしまう最大の理由です。
腰痛が悪化する?柔らかいマットの危険性
効果が薄いだけならまだ「運動不足解消」として割り切れますが、もっと深刻な問題があります。
それは「怪我のリスク」、特に腰への深刻なダメージです。
私たちの背骨(脊椎)は、自然なS字カーブを描くことで体重を分散し、クッションの役割を果たしています。
しかし、柔らかいマットレスの上で仰向けになると、人体の中で最も重いパーツである「お尻(骨盤)」がズブズブと深く沈み込んでしまいます。
これはいわゆる「ハンモック現象」と呼ばれる状態で、腰が丸まったまま固定されてしまうことを意味します。

この状態で無理に体を動かすとどうなるでしょうか?
腰が沈んだ状態で運動を行うと、腰椎のクッションである「椎間板」に対して、前側から強い圧力がかかります。
逃げ場を失った椎間板の中身(髄核)は後ろ側へ押し出されようとします。
ここで、もしあなたが隠れ腰痛持ちや、ヘルニア予備軍だった場合、この動作が引き金となって、「グキッ」といく可能性が非常に高いのです。
ベッド上での腹筋運動はやめよう

「寝る前にベッドで腹筋100回!」
これは昭和のスポ根漫画のような響きですが、現代のトレーニング科学では、その効果は限定的だとされています。
一般的な上体起こし(シットアップ)やクランチを、柔らかいベッドの上で行う場面を想像してください。
上半身を起こそうとした瞬間、支点となるべきお尻や腰がマットレスに沈み込み、土台がグラグラと揺れます。
土台が安定しないと、人間の体は本能的に「他の筋肉」を使ってバランスを取ろうとします。
本来なら腹直筋(お腹の真ん中の筋肉)を使いたいのに、無意識のうちに以下のような代償動作が起きてしまうのです。
- 首の力で起きようとする: 翌日、お腹ではなく首や肩が筋肉痛になるパターンです。
- 腰の筋肉(脊柱起立筋)で反動をつける: 腰を反らせて勢いで起き上がるため、腰椎を痛めます。
- 股関節の筋肉(腸腰筋)を過剰に使う: 足が浮かないように踏ん張ることで、太ももの前側ばかりが太くなります。
結果として、「お腹は割れないのに、首は痛いし、太ももはパンパン」という悲しい結末が待っています。
このように腹筋運動こそ、カチカチに硬い床の上で行うべき種目の筆頭なのです。
足パカなどの足痩せ運動で起きる股関節トラブル
一時期InstagramやYouTubeで流行した「足パカ」ダイエット。
仰向けになって両足をパカパカと開閉する、一見簡単そうな動きですが、これもベッドの上ではリスクが潜んでいます。
足というパーツは、皆さんが思っている以上に重たい物体です。片足だけで体重の約15〜20%ほどの重さがあります。
両足合わせれば10kg〜20kg近い重量を、空中でコントロールしなければなりません。
ベッドの上でこれを行うと、重い足を動かすたびに体が左右に揺れ、骨盤が安定しません。
すると、股関節のソケット(受け皿)の中で骨頭がスムーズに回転できず、ガツガツと衝突(インピンジメント)を起こしたり、靭帯が無理に引き伸ばされたりします。
もし足パカをしていて、「コキッ」「パキッ」と股関節から音が鳴るなら、それは関節が悲鳴を上げているサインです。
ベッドの沈み込みが原因で、フォームが崩れている可能性が高いので、即刻中止し、床の上で行うようにしましょう。
不安定な足場や揺れる場所での筋トレについて
ここまで「怪我のリスク」について話しましたが、最後にもう一つ、「ベッド上の筋トレでは筋肉がつかない理由」として重要な神経系メカニズムについて触れておきます。
人間の脳には、体を守るための「安全装置(リミッター)」が備わっています。
不安定な足場や揺れる場所で重い物を持とうとすると、脳は「おっと、ここで本気を出すとバランスを崩して転倒するぞ!」と判断し、筋肉への命令を自動的に弱めてしまうのです。
これを専門用語で、「神経原性抑制」などと呼びますが、要するに「脳がブレーキをかけている状態」です。

- 安定した床: 脳が「安全だ」と判断し、筋肉のリミッターを解除(100%の力を出せる)。
- 揺れるベッド: 脳が「危険だ」と判断し、出力を60%程度に制限。
筋トレの基本原理の一つに、「過負荷の原則(オーバーロード)」というものがあります。
日常生活以上の負荷をかけないと、筋肉は成長しないというルールです。
しかし、脳がブレーキをかけている状態では、そもそも過負荷をかけること自体が物理的に不可能です。
つまり、あなたがどれだけ気合を入れて不安定なベッドの上で頑張っても、体の内側では、「安全運転モード」が作動しており、筋肉を大きくするためのスイッチは押されていないのです。
これが、「ベッドの上での筋トレは(ボディメイクとしては)意味がない」と言われる科学的な正体です。
筋トレはベッドの上だと意味ない?目的によっては有効的!

ここまで読んで、「やっぱりベッドで運動なんてしちゃダメなんだ…」と落ち込んでしまった方もいるかもしれません。
でも、ちょっと待ってください。ベッド上での筋トレは、目的によっては有効的な場合もあります。
確かに「筋肥大」や「本格的なボディメイク」には、ベッド筋トレは不向きですが、目的を変えれば、ベッドは素晴らしいフィットネス空間に変わります。
ここからは、どんな人になら「ベッド筋トレは意味がある」のか、ポジティブな側面を見ていきましょう。
寝る前の運動習慣がダイエットに繋がる理由
ダイエットにおいて、最も難しく、そして最も重要なことは何だと思いますか?
きついスクワット?食事制限?いいえ、違います。
答えは、「継続すること」です。
どんなに科学的に正しい「床での高負荷トレーニング」も、3日で辞めてしまえば効果はゼロです。
逆に、効率が悪いと言われる「ベッド上の低負荷運動」でも、1年続ければ体は確実に変わります。
ベッド筋トレ最大のメリットは、手軽に行えるゆえに継続しやすいという点でしょう。
- 着替える必要なし(パジャマでOK)
- 準備する必要なし(寝転がるだけ)
- 移動する必要なし(すでにそこにいる)
ベッド上の運動は、人間が行動を起こすためのハードルが極限まで低いのです。「やる気が出ない日は、とりあえずベッドで足首だけ回そう」といった低い目標設定が、結果として「運動習慣の定着」を生み出します。
このように、「ベッド筋トレは意味がない」と切り捨てる前に、「続けられる」という価値を再評価してみてください。
運動嫌いな人にとって、継続できること以上のメリットはありません。
ベッド上でおすすめの体幹トレーニングメニューは?

では、具体的にどんな運動ならベッドの上でも安全で、かつ効果的なのでしょうか?
ポイントは、「動きが少ない(静的)」かつ「インナーマッスルを狙う」種目を選ぶことです。
ダイナミックに動くのではなく、じっくりと体の内側を使うメニューなら、マットレスの不安定さがむしろ良いスパイスになります。
| 種目名 | やり方と効果のポイント |
|---|---|
| ドローイン (腹式呼吸) |
【やり方】 1. 仰向けになり膝を立てる。 2. 鼻から息を吸ってお腹を膨らませる。 3. 口からゆっくり息を吐きながら、お腹をペチャンコに凹ませる。 4. 凹ませた状態を10〜30秒キープ。 【なぜベッド向き?】 |
| ヒップリフト (お尻上げ) |
【やり方】 1. 仰向けで膝を90度に曲げる。 2. 足の裏でベッドを踏み込み、お尻を天井へ持ち上げる。 3. 肩から膝までが一直線になる位置で3秒キープ。 【なぜベッド向き?】 |
| プランク (※短時間) |
【やり方】 うつ伏せになり、肘とつま先だけで体を支えて一直線をキープ。 【注意点】 |
これらのメニューなら、寝る前の5分間で行うことができ、副交感神経を刺激して、睡眠の質を高める効果も期待できます。
リハビリや運動不足解消にもおすすめ
もう一つ、ベッド上運動の重要な役割があります。
それは「ゼロをイチにする」ためのステップとしての役割です。
普段デスクワークばかりで全く動かない人や、高齢の方、あるいは怪我からの回復期にある人にとって、いきなり硬い床でスクワットをするのは、自殺行為に等しい場合があります。
関節が硬く、筋肉が衰えている状態で、いきなり高強度の運動をすれば、体を壊すのは目に見えています。
そんな時、ベッドのクッション性は、関節への衝撃を和らげる「安全マット」の役割を果たしてくれます。
厚生労働省の健康情報サイト「e-ヘルスネット」でも、筋力トレーニング(レジスタンス運動)は、筋肉量の維持だけでなく、加齢に伴う様々なリスクを低減させると紹介されています。
筋トレ(レジスタンス運動)は、単に筋肉をつけるだけでなく、骨粗鬆症の予防、2型糖尿病の改善、さらには心血管疾患のリスク低減にも効果があるとされています。たとえベッド上での軽微な運動であっても、何もしないよりは遥かに健康的価値が高いのです。
(出典:厚生労働省 e-ヘルスネット『レジスタンス運動』)
ベッドの上で足を上げ下げするだけでも、股関節のポンプ作用が働き、全身の血流が良くなります。
「筋トレ」と呼ぶには負荷が足りなくても、「健康体操」としては100点満点です。
自分のレベルに合わせて、恥ずかしがらずにベッド運動から始めてみましょう。
本気ならトレーニングマットへの移行が必要
ここまで読んで、もしあなたが「いや、私はもっと体を引き締めたいんだ!」「腹筋を割りたいし、ヒップアップもしたい!」と強く思ったなら、次のステップに進む時期です。
ベッド上での運動に慣れてくると、必ず「物足りなさ」を感じる日が来ます。
「足元がグラついて力が入りにくいな」「もっと深くしゃがみたいな」と感じたら、それは体がレベルアップした証拠です。
その時こそ、「トレーニングマット」を購入するタイミングです。
失敗しないマット選びの基準

「でも、ヨガマットって薄くて痛そう…」と思いますよね。
そこで私が強くおすすめするのは、標準的なヨガマット(6mm)ではなく、厚さ10mm〜15mmの極厚トレーニングマットです。
- クッション性: ベッドのように痛くないけれど、沈み込みすぎない絶妙な硬さ。
- 防音性: マンションやアパートでも、下の階への音を気にせず運動できる。
- 安定性: 足元がしっかりグリップするので、スクワットや腹筋の効果が逃げない。
このマットを一枚敷くだけで、あなたの部屋は一瞬で、「ジム」に変わります。
ベッドの上で運動するよりも、マットの上で5分動く方が、効果は何倍にも跳ね上がりますので、慣れてきたらトライしてみましょう。
下の記事では、自宅で本格的な筋トレをするために、最低限必要な器具をご案内していますので、よろしければご参考ください。

結論:ベッドの上筋トレは意味ない?
長くなりましたが、結論をまとめましょう。
今回の記事の問いに対する私の答えはこうです。
「ベッド上の筋トレは、ボディビルダーを目指すなら意味はないが、健康で美しい体を目指す第一歩としては、大いに意味がある」
大切なのは、今の自分の目的と、環境の特性を正しくマッチさせることです。

「完璧な環境でしか運動しない」と決めて何もしないより、不完全でも「今、ここで体を動かす」ことの方が、あなたの未来にとっては間違いなくプラスです。
さあ、この記事を読み終わったら、まずはその場で大きく伸びをして、深呼吸をしてみませんか?
それも立派な、ベッドの上でのトレーニングの始まりです。
※本記事の情報は一般的な目安です。腰痛などの持病がある方は、医師や専門家にご相談の上、無理のない範囲で行ってください。

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