こんにちは。おとFITNESS運営者の「OTOWA」です。
「今日はお菓子を食べ過ぎたから、夜に腹筋100回やってチャラにしよう!」そんな風に意気込んで、床に寝転がった経験、ありませんか?
ダイエットを志す多くの人が、最初に思い付くのが、「腹筋運動」ですよね。
自宅で手軽にできて、お腹にダイレクトに効いている感覚があるため、「これを毎日100回続ければ、きっと脂肪が燃えてバキバキになるはず」と期待してしまうのは、当然のことかなと思います。
しかし、実際にその運動で、どれだけのエネルギーが消費されているのか、具体的に数値で把握できている人は、意外と少ないのが現実です。
この「数値の現実」を知ることは、決して、モチベーションを下げるためではなく、無駄な努力を避け、最短ルートで、理想の体型に近づくための地図を手に入れることと同じです。
今回は、腹筋運動にまつわる消費カロリーの計算式や、生理学的な痩せるメカニズムについて、パーソナルトレーナーである私の経験と、リサーチデータを交えながら、徹底的に解説していきます。
- 腹筋100回の消費カロリーと運動強度別のシミュレーション
- おにぎりなど具体的な食品カロリーと比較した腹筋のエネルギー消費について
- お腹周りの脂肪を効率よく落とすために知っておくべき生理学について
- 腰痛リスクを回避しつつ、見た目を劇的に変えるための正しい腹筋のやり方
腹筋100回の消費カロリーは意外と低い?

「腹筋100回」という回数は、キリが良く達成感も大きいため、多くのダイエッターが目標に掲げがちです。
しかし、その労力に見合ったカロリーが消費されているかというと、残念ながら現実はかなりシビアです。
まずは、感覚論ではなく、運動生理学に基づいた計算式を用いて、腹筋100回分のカロリー消費量を知りましょう。
所要時間とMETsに基づく計算結果
運動によるエネルギー消費量を、正確に知るためには、「METs(メッツ)」という単位を、理解する必要があります。
METsとは、「Metabolic Equivalents」の略で、安静時(座ってテレビを見ているような状態)を「1」としたときに、その運動や活動が、何倍のエネルギーを消費するか、を示す強度指数です。
国立健康・栄養研究所が改訂した『身体活動のメッツ(METs)表』によると、一般的な腹筋運動(シットアップやクランチ)の強度は以下のように分類されています。
- 軽度(約2.8 METs):休み休み行う、可動域が狭い、軽いクランチなど
- 中等度(約3.8 METs):一般的なペースでのシットアップ、適度な休憩を含む
- 高強度(約8.0 METs):休憩なしのサーキット形式、高速実施、ジャンプ等を伴う
私たちが通常「腹筋100回」を行う場合、ノンストップで高速に行うことは、筋持久力の限界により難しく、途中で息を整えたり、フォームを確認したりしながら行うのが一般的です。
そのため、現実的な強度は、中等度(3.8 METs)に落ち着くことが多いですね。
では、実際に計算してみましょう。消費カロリーの計算式は以下の通りです。
METs × 体重(kg) × 運動時間(時間) × 1.05 = 消費カロリー(kcal)
ここでは、腹筋100回を、「約6分間(0.1時間)」かけて行ったと仮定します。
これは1回あたり約3〜4秒のペースで、丁寧に行った場合の想定です。
体重別にシミュレーションした結果を、以下の表にまとめました。
| 体重 | 運動強度 | 実施時間 | 計算式詳細 | 消費カロリー |
|---|---|---|---|---|
| 50kg | 3.8 METs | 6分 (0.1h) | 3.8 × 50 × 0.1 × 1.05 | 約 19.9 kcal |
| 60kg | 3.8 METs | 6分 (0.1h) | 3.8 × 60 × 0.1 × 1.05 | 約 23.9 kcal |
| 70kg | 3.8 METs | 6分 (0.1h) | 3.8 × 70 × 0.1 × 1.05 | 約 27.9 kcal |
| 80kg | 3.8 METs | 6分 (0.1h) | 3.8 × 80 × 0.1 × 1.05 | 約 31.9 kcal |
いかがでしょうか。
体重60kgの人が一生懸命100回腹筋を行っても、消費されるのは、約24kcal程度です。

仮に、プロのアスリート並みに追い込んで強度を、「8.0 METs」まで引き上げ、5分間(0.083時間)で終わらせたとしても、体重60kgで、約42kcalにしかなりません。
ネット上の記事や雑誌では、「腹筋100回=70kcal〜100kcal」といった魅力的な数字が計算されていることがありますが、あれは「運動後の代謝アップ(EPOC)」を過大に見積もっていたり、セット間の休憩時間を含めた「拘束時間全体」で計算していたりする可能性が高いです。
ですので、腹筋100回で純粋な運動消費として期待できるのは、やはり20〜30kcal前後と考えておくのが、正しいと言えるでしょう。
(出典:国立健康・栄養研究所『改訂版 『身体活動のメッツ(METs)表』』)
おにぎり1個分を消費するには腹筋何回?
先ほど算出した「24kcal」という数字が、実際の生活の中でどれほど微力なものか、私たちが普段口にしている食品と比較してみると、その「コスト対効果」の悪さが、残酷なまでに浮き彫りになります。
「ちょっと食べ過ぎちゃったから腹筋で取り戻そう」という考えが、いかに険しい道のりであるかを、具体的な数字で見てみましょう。
以下は、一般的な食品のカロリーを、体重60kgの人が腹筋100回(約24kcal消費と仮定)で相殺しようとした場合に、何セット必要になるかを試算したものです。
| 食品名 | カロリー目安 | 相殺に必要な腹筋回数(セット数) | 所要時間目安 |
|---|---|---|---|
| コンビニおにぎり (梅) | 約 170 kcal | 約 710回(7.1セット) | 約 42分 |
| ツナマヨおにぎり | 約 230 kcal | 約 960回(9.6セット) | 約 57分 |
| 缶ビール (350ml) | 約 140 kcal | 約 580回(5.8セット) | 約 35分 |
| ショートケーキ (1個) | 約 366 kcal | 約 1,525回(15.3セット) | 約 1時間30分 |
| バナナ (1本) | 約 93 kcal | 約 390回(3.9セット) | 約 23分 |
この表を見て、絶望しないでください。でもこれが現実なんです。
例えば、ランチにプラスして、なんとなく食べてしまった「ツナマヨおにぎり」を無かったことにするには、約1000回近い腹筋運動が必要です。

時間にして約1時間、休みなくお腹を曲げ伸ばし続ける必要があります。
これはもう、トレーニングというよりは、苦行に近いレベルですし、腰や首への負担を考えると、怪我のリスクが極めて高くなります。
ショートケーキに至っては、1500回以上です。
これを食べた後に、「よし、腹筋やるぞ!」と奮起できる人は、精神力が強靭すぎるか、計算ができていないかのどちらかでしょう。

腹筋を毎日続けても痩せる効果は限定的?
「1回の消費カロリーが少ないのはわかった。でも、継続は力なり、毎日続ければ痩せるんでしょ?」
その通り、継続することは素晴らしいことです。しかし、ここでも数字の壁が立ちはだかります。
体脂肪を1kg減らすためには、約7,200kcalのエネルギー不足を作る必要があると言われています。これを腹筋100回の消費量(約24kcal)で割ると、どうなるでしょうか。
腹筋だけで脂肪1kgを減らすための期間
7,200kcal ÷ 24kcal/日 = 300日
なんと、約300日(約10ヶ月)かかります。
雨の日も風の日も、体調が悪い日も、休まず毎日100回続けて、ようやく1年弱で脂肪が1kg減る計算です。
もちろん、これには、「食事量が増えていない」かつ「基礎代謝が変わっていない」という前提条件がつきます。
実際には、運動をしてお腹が空き、一口チョコを食べてしまえば、その日の努力は、プラスマイナスゼロになってしまいます。
1ヶ月頑張って、「よし、これで少しは痩せただろう」と体重計に乗っても、計算上は約0.1kg(100g)しか減っていないのです。
この変化は、コップ一杯の水を飲めば、消えてしまう程度の誤差です。
「こんなに頑張っているのに、全然痩せない…」とモチベーションを失ってしまう原因の多くは、この「期待する効果」と「実際の消費カロリー」のギャップにあります。
腹筋運動は素晴らしいエクササイズですが、「カロリーを消費して体重を落とすための手段」として選択するのは、あまりにも道のりが遠すぎるのです。
もしあなたが本気で体重を落としたいと考えているなら、腹筋運動に全精力を注ぐよりも、食事管理(カロリーコントロール)を見直す方が、圧倒的に早く、確実に結果が出ます。
腹筋運動だけでは意味ない理由

多くの人が、「お腹の脂肪を落としたいから腹筋をする」と考えますが、これには、「部分痩せ(スポットリダクション)」という大きな誤解が潜んでいます。
「使った筋肉の周りの脂肪が燃える」というのは、直感的には正しそうに思えますが、生理学的には否定されています。
これには、脂肪が燃焼されるプロセスが関係しています。
- 分解指令:運動などの刺激により、アドレナリンや成長ホルモンなどのホルモンが分泌されます。
- 血中への放出:ホルモンは血液に乗って全身を巡り、全身の脂肪細胞に「脂肪を分解しろ!」と指令を出します。
- 運搬と燃焼:分解された脂肪(遊離脂肪酸)は血流に乗って筋肉(ミトコンドリア)へ運ばれ、そこで初めてエネルギーとして燃やされます。
重要なのは、「ホルモンは血液を通じて全身に作用する」という点です。
腹筋運動をしたからといって、お腹周りの血管だけに、濃いホルモンが流れるわけではありません。
全身の脂肪タンクから、遺伝的な傾向や受容体の分布に従って、まんべんなく脂肪が使われていくのです。
脂肪細胞には、脂肪分解を促進する「β受容体」と、抑制する「α2受容体」があります。お腹周り(特に下腹部)の脂肪細胞には、残念ながら分解を邪魔する「α2受容体」が多く分布している傾向があります。そのため、全身の脂肪が落ちていく過程でも、お腹の脂肪は最後まで残りやすいのです。これを腹筋運動だけで解決しようとするのは、生理学的にも非常に困難な戦いになります。
「腹筋運動をしているのにお腹のプヨプヨがなくならない」というのは、あなたの努力不足ではなく、身体の仕組み上、仕方のないことなのです。
脂肪を落とすには、特定の部位を動かすことよりも、「全身のエネルギー収支をマイナスにすること」が唯一の正解です。
男女別の基礎代謝と消費量の違いは?

ここまでの計算は、体重60kgを基準にしてきましたが、実際には性別や体格によって、消費カロリーには、大きな個人差が生まれます。
特に知っておくべきなのが、男女間の筋肉量の差による、基礎代謝の違いです。
男性の場合
一般的に、男性は女性よりも筋肉量が多く、体重も重い傾向にあります。
消費カロリーは体重に比例するため、同じ腹筋100回でも、体重80kgの男性が行えば約32kcal消費できる計算になります。
また男性は、テストステロンなどのホルモンの影響で、筋肉がつきやすく、基礎代謝も上がりやすいため、運動の効果が数値として現れやすい側面があります。
女性の場合
一方で、小柄な女性(例えば体重45kg〜50kg)の場合、腹筋100回の消費カロリーは、15kcal〜20kcal程度まで、下がってしまいます。
さらに、女性は月経周期に伴う女性ホルモン(エストロゲン・プロゲステロン)の変動により、時期によっては、水分を溜め込んでむくみやすくなったり、食欲が増進したりします。
「生理前で体重が減らない」「むくみでお腹が張っている」という時期に、消費カロリーの低い腹筋運動だけを頼りに、ダイエットを進めるのは、精神的にも辛いものがあります。
ですので、女性こそ、腹筋運動の「微々たるカロリー消費」には期待せず、後述する「ボディラインを整える効果」に焦点を当てるようにしましょう。
腹筋100回で消費カロリー以上の効果を出すには?
ここまで「消費カロリー」の面では、かなり厳しい現実をお伝えしてきましたが、誤解しないでいただきたいのは、「腹筋運動には意味がない」と言っているわけでは決してないということです。
むしろ、目的を「カロリー消費」から「ボディメイク」に切り替えた瞬間、腹筋運動は最強のトレーニングに変わります。
腹筋のウエストの引き締め効果
あなたのダイエットの目的は何でしょうか?
「体重計の数字を減らすこと」でしょうか?それとも、「鏡に映る自分の体が美しくなること」でしょうか?
もし後者であれば、腹筋運動は極めて有効です。
脂肪が減らなくても、「見た目」が変わればダイエットは成功と言えます。
腹筋運動、特にインナーマッスル(腹横筋など)を刺激する運動を行うことで、以下のような劇的な変化が期待できます。

つまり、たとえ脂肪が1gも減っていなかったとしても、腹筋運動で、筋肉の緊張が高まることで、ウエストが数センチ細くなることは、十分にあり得ます。
これは「痩せた」わけではありませんが、「引き締まった」状態であり、見た目のインパクトとしては、体重減少以上の価値があることも多いのです。
腰痛を防ぐ正しい腹筋のフォームと負荷
「腹筋100回」という数字に執着するあまり、フォームが崩れていませんか?
特に注意したいのが、昔ながらの「誰かに足を押さえてもらって、勢いよく上体を起こすシットアップ」です。
この動作は、腹筋よりも股関節の筋肉(腸腰筋)を強く使ってしまいがちです。
腸腰筋は腰の骨(腰椎)に付着しているため、強く収縮すると腰を前に引っ張り、腰椎に強い負担をかけてしまいます。
これが、腹筋運動で、腰を痛める最大の原因です。
ですので、回数をこなすために反動を使ったり、首を無理やり曲げたりするのは、本末転倒です。
100回適当にやるよりも、以下のポイントを意識した「質の高い20回」の方が、筋肉への刺激は強く、かつ安全です。
- 可動域は狭くていい:上体を完全に起こす必要はありません。肩甲骨が床から離れるくらいまで丸めるだけで、腹直筋には十分な刺激が入ります。
- おへそを覗き込む:視線は常に自分のおへそへ。天井を見ながら行うと首に力が入ってしまいます。
- 腰を床に押し付ける:これが最重要です。動作中は常に、背中と床の隙間を埋めるように腰を床に押し付け続けてください(ドローイン)。これにより腰痛を防ぎながらインナーマッスルも刺激できます。
- 呼吸を意識する:身体を起こす時に「フゥーッ」と息を吐ききり、お腹を極限まで凹ませます。戻す時にゆっくり吸います。
まずはこの「正しいクランチ」を、15回〜20回×3セット行うことから始めてみてください。
正しく行えば、20回でもお腹が熱くなり、翌日には心地よい筋肉痛が来るはずです。
スクワットの方が痩せる効率は高い
さて、話を、「カロリー消費」と「脂肪燃焼」に戻しましょう。
もしあなたの最優先事項が、「とにかくエネルギーを消費して痩せたい!」ということであれば、腹筋マットの上で転がっている時間を、今すぐ「スクワット」に充てるべきです。
なぜなら、筋肉の大きさ=エンジンの排気量だからです。
腹筋(腹直筋)は、それほど大きな筋肉ではありません。
対して、下半身には、全身の筋肉の約60〜70%が集中しており、特に、「大腿四頭筋(太もも前)」「ハムストリングス(太もも裏)」「大殿筋(お尻)」は人体でトップクラスの大きさを誇る筋肉群です。
これらを総動員するスクワットは、消費エネルギーが桁違いです。
一般的に、スクワット1回は、腹筋3〜4回分の消費カロリーに相当すると言われています。
つまり、スクワットを30回行えば、腹筋100回と同じか、それ以上のエネルギーを消費できる計算になります。

- 時間対効果(タイパ)が最強:短時間で多くのカロリーを消費できます。
- 基礎代謝の向上:大きな筋肉を鍛えることで、安静時の消費エネルギー(基礎代謝)が上がりやすくなり、「痩せやすく太りにくい体」を作ることができます。
- ホルモン分泌:高強度のスクワットは、成長ホルモンやテストステロンの分泌を強力に促します。これらは全身の脂肪分解を助ける働きがあります。
有酸素運動との併用で脂肪燃焼しよう
脂肪を確実に燃やすための組み合わせ、それが「筋トレ × 有酸素運動」のハイブリッド戦略です。
先ほど説明したように、筋トレ(スクワットや腹筋などの無酸素運動)は、脂肪を分解して、血中に放出させる役割が得意です。
しかし、血中に放出された脂肪(遊離脂肪酸)は、使われなければ、また元の脂肪細胞に戻ってしまいます。そこで登場するのが有酸素運動です。
ウォーキング、ジョギング、水泳などの有酸素運動は、血中の脂肪を酸素と一緒に取り込んで、エネルギーとして燃やし尽くす役割を担います。

この順番で行うことで、有酸素運動を始めてすぐに、脂肪燃焼モードに入ることができ、運動効率が劇的に向上します。
このように、「腹筋100回やって終わり!」ではなく、「腹筋20回+スクワット20回+ウォーキング20分」という組み合わせの方が、お腹の脂肪は確実に減っていきます。
まとめ:腹筋100回の消費カロリーは?
これまでの話をまとめましょう。
「腹筋100回」の消費カロリーは、残念ながら約20〜30kcal程度と、おにぎり1口分にも満たないのが現実です。
ですので腹筋運動を、「カロリー消費の手段」として過信し、食べた分を、運動で帳消しにしようとするのは、戦略として賢くありません。
しかし、腹筋運動が無意味なわけでは決してありません。
お腹周りの筋肉を強化し、内臓を正しい位置に戻し、姿勢を改善することで、「見た目の美しさ」を作る上では、代わりの効かない重要な種目です。
- 食事管理をベースにする:消費カロリーに頼らず、まずは摂取カロリーをコントロールする。
- スクワットを主役に:カロリー消費と代謝アップは下半身トレーニングに任せる。
- 腹筋は「引き締め」担当:回数よりも質を重視し、天然のコルセットを作るつもりで丁寧に行う。
- 有酸素で燃やす:筋トレ後の有酸素運動で、分解された脂肪を確実に燃焼させる。
数字に惑わされず、身体の仕組みを正しく理解してトレーニングを行えば、あなたの体は必ず変わります。
「100回」という数字の呪縛から解き放たれ、より効率的で、効果的なボディメイクを楽しんでくださいね!
※本記事の消費カロリー計算は一般的なMETs値に基づいた目安です。個人の体格や筋肉量によって数値は変動します。
※腰に痛みがある場合は無理に腹筋運動を行わず、専門医やトレーナーにご相談ください。
※妊娠中の方や持病をお持ちの方は、医師の指示に従って運動を行ってください。

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